5. 社会実装を前提としたプロジェクトが少ない

ブロックチェーン技術の有用性を検証するために、多くの実証実験、概念検証(=PoC)がなされており、毎日多くのプレスリリース出されています。特に、非金融市場での利用についてはIoT, AI/DL, Bigdata, Blockchian、FinTech, EV, VPP, MaaS, 情報銀行・・・バズワードばかり。そこで「新しい技術やアイデアを活用して期待する効果が得られるか、どんな課題があるかなどを確認してみましょう!」先ずは小規模でPoCとなる。この発想がそもそも間違いの因です。

 良く受ける質問は、何でブロックチェーンを使うの?必要ない・・・事例を教えて・・・いろいろ試したが、ブロックチェーンの利用は未だ早い、弊社に合う事例を研究したい、ビジネスになる実感が湧かない、お金の匂いがしない、などなど、実際ブロックチェーンなんか使わなくても殆どのシステムは作れます。問題は、何の課題や問題を解決するか目的がハッキリしていないことです。他の理由としては、①技術の変化が激しいので追随できない、②適当なデータが無い点。先ずはデータを集めて、そしてプロトを作って、プロトが完成した頃にはソフトウェアのバージョンが変わり書き直し、スマートコントラクトの書き方はこれでいいのか?セキュリティレベルは?PoCを終わった時点で、もう検証の意味をなさない。これが“PoC貧乏”の実態です。

「社会実装を前提としたプロジェクトが少ない」の真意は、前提である、ビジネスモデルや利便性を明確にしてから、プロジェクトを開始する。このフェーズに資源をすべきです。システムは最小限のコストと時間で、最小限のプロダクトを市場にいち早く投入し、開発スピードを上げ、知名度を上げることで差別化が図れます。即ち、MVP(Minimum Viable Product)の考え方を持ったプロジェクトです。AirbnbやTwitterは、MVPの手法で開発されたサービスです。

弊社が加盟する一般社団法人ABCC(オートモーティブブロックチェーンコンソーシアム)の設立に参加した目的は、①変化の激しいブロックチェーンのコア製品、②データ採取クライアント、③サービス開発環境、④会員各社や団体で利活用を研究、⑤共創プロジェクトの容認、⑥最新情報の入手などを通じて、新しいサービスをいち早く市場に投入とする具体的な取り組みがつくれるからです。

ブロックチェーン技術は、社会実装して初めて効果が出ます。PoCを否定しませんが、MVPを目指してプロジェクトを考え直しては如何でしょうか?効率と効果、実証と実用の違いは雲泥の差となります。