ブロックチェーンを用いた EV バッテリー・フルライフサイクル管理

去る9月に、カウラが上海で開催された Wanxiang Global Blockchain Summit国際コンテストで入賞したことをお伝えしました。本稿ではその内容をご紹介します。

 

〜バッテリーの残存価値予測エンジンを提案~

カウラ株式会社(本社:東京都千代田区、最高経営責任者:岡本克司)は、ブロックチェーン(分散台帳管理技術)を使い、スマートシティーのモビリティー等で利用される電気自動車のバッテリー残存価値を評価する仕組みBattery Residual Value Prediction System(BRVPS)を提案しました。 BRVPSは、IoT、AIエンジン、ビッグデータ解析、ブロックチェーンを繋げ、データ価値の創造とデータ流通で新たなシェアリングエコノミーモデルを提唱するものです。 Wanxiangが主催する国際コンテスト「Full lifecycle management system for batteries」部門で3位に入賞しました。
なお、同部門の1位はFilament (USA)、2位はBlockApps (USA)と富士通中国です。

1. 背景と狙い
EVバッテリー管理は、世界中でCO2排出規制による世論が高まり 深刻な大気汚染問題の解決が求められており、ガソリン車から電気自動車へのシフトが推進される中 EVバッテリー管理が注目されています。 EV用バッテリーは、EVの心臓部であり、もっとも高価、もっとも重く、しかも危険物です。 中国政府はバッテリー管理を法律で定め、改造を禁止したり廃棄したりすることを厳しく取り締まる方針です。
カウラは、(1)バッテリー残存価値データの取得、(2)AIを利用しバッテリーの利用予測データの2種類のデータをブロックチェーンに書き込み、真正性と非改ざん性を担保し、バッテリー自体のライフサイクル管理と取得されたデータの価値を最大化させ、流通させる仕組みを提案し、新たなシェアリングエコノミーを実現します。

2. BRVPS(Battery Residual Value Prediction System)の概要
バッテリーユニット内の温度、湿度、圧力、電圧、電流等のBMS(Battery Management System)から取得したデータとOBD(On-Board Diagnostics)からの情報をバッテリー残存価値予測エンジンに蓄積し、AI/MLを定常的に実行しブロックチェーンに書き出すことによって、EV/バッテリー所有者や利用者はクラウド経由でデータにアクセスできます。 現在のSOHデータに加え将来のSOHデータ(含む充電効率)とバッテリーの過去の利用傾向をもとにした利用予測データに自由にアクセス出来ることでバッテリー価値の最大限効率的に利用するためのアクションを可能にしたシステムです。

3. 今後の展開
EVやバッテリーメーカとの連携により、バッテリーデータを中心とした新規市場の開拓を目指します。 EVとバッテリーの需給バランス、エネルギーの消費計画、予約、利用、決済の各ステップを実装することで、バッテリーを中心としたEV普及を加速し、付帯サービスを創造し、EV/バッテリー所有者や利用者がコンシューマからプロシューマへ転換することを促進していきます。

■カウラ株式会社の概要
デジタルトランスフォーメーションを促進する一連のコア技術、 IoT、 Big data Analytics、 AI、 Blockchainにフォーカスし、 3つの領域、(1)シェアリングエコノミー、(2)マイクロペイメント、(3)ロボアドバイザーでイノベーションの実現を目指しています。 EEA(Enterprise Ethereum Alliance)メンバーとしてスマートコントラクトの実装、 FACTOMを利用した利用記録管理システムの提供、 今後は Block-less DLT システムの IOTA  Foundation等の検討を通じてブロックチェーン技術を利用した先進的な取り組みを推進しています。 ( https://kaula.jp/ )

プレスリリース(pdf)