4. 制度設計、法制度改変はベンチャーでは限界、政府機関や社会的信用のある組織との連携

経済産業省「平成29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(分散型システムに対応した技術・制度等に係る調査)」ブロックチェーンをはじめとした分散型システムを社会実装していくために必要な要素技術・法制度等について調査、報告書に弊社の取組が掲載されました。日本総研様が取りまとめられた資料です。

特に、国内の法制度は整備が遅れており、この報告書の中でも提言されていますが、小ぶりな実証実験をSandboxで行われているのが実情です。データ駆動型(自律分散)社会構想は2016年に発表されたSociety5.0がベースになっています。Society5.0の中核技術は、IoT, AI, ブロックチェーンであり、主役は“データ”です。データは、個人データと機器から生成されるデータがあり、これらの利活用が課題となっています。しかし、個人情報の扱いには、安全性や倫理問題があり、それらは法制度でガッチリ規定されています。

個人情報保護法は、当然ですが、個人の情報に限られ、個人が特定出来る事、が定義されています。

例えば、究極の個人情報であるゲノムデータを安全に、倫理的に使う事が出来れば、医療、健康、医療サービスとの連携、新サービス(例えば、アレルギン情報確認、健康年齢生命保険、緊急時本人確認、認知症資産管理、GDPR対策)など応用領域は一気に広がります。ゲノムの解析費用は、2001年には約100億円、2007年には10億円、2015年には$1,245USDまで下がっており実用域に来ています。即ち、技術的にはシステム化可能だが、法制度が追い付いておらずサービス化出来ないのです。この課題は、自動車や電力の市場でも同じことが言えます。

一方で、エスタブリッシュされた企業は、ガバナンスでがんじがらめになっており、法制度順守が基本であり、制度設計や制度改変など出来そうにありません。こうした理由から、いくつかのベンチャー企業は、海外で創業され、いち早く実証実験を行いサービス化をしている傾向にあります。

尤も、こうした規制にチャレンジする人材が大企業やスタートアップに少ないのも事実です。是非、チャレンジしてデータ駆動型社会を築き上げましょう!